23 #2

2/8
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
日本を旅立つ寸前、俺は先生に会いに行った。 最後にもう一度“花本蒼“を見ておきたかった。 八年前。 あの日から俺はこの日とのコピーになった。 コピーなんかよりももっとタチが悪い。 オリジナルを模倣するただのペテン師にすぎないのだから。 それに、模倣してるのがこの人だってことも趣味が悪い。 彩愛さんの気持ちに気付いてあげられなかったこと。 それがあの事件を生んでしまった。 だから、今度こそは彩愛さんの気持ちに応えてあげたい。 先生の身代わりで良い。 俺を忘れたとしても、彩愛さんが喜んでくれればそれだけで良い。 ーーーなーんて、そんな偽善ぶって本当は、怖かった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!