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だから余計に不安だった。
もしかしたら、三春は花本蒼の偽物の俺の方が良かったんじゃないのかって。
それでももう後戻りは不可能な一方通行の迷路に入ってしまったからには、入り口に戻ることは許されない。
今、三春はどんな思いでいるのだろう。
何も言わずに去った俺に愛想を尽かしてるのかもしれない。
三春の隣には光輝さんがいるのが当たり前になってるかもしれない。
光輝さんずっと見てたもんな。
結局、逃げ出した俺に神様は見放したんだなって、悟らされた。
現実は残酷で酷いことを。
夢物語のようにうまくはいかないことを。
そんな俺の予想通り、彼女は光輝さんの手を握って涙を流していた。
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