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あれから色んな事があったけど、私たちはまたここから新しいスタートを切るんだ。
今度は一人じゃない。
二人で一緒に。
一緒に……
トクン……
「あ……れ……?」
バス停にたどり着く寸前、不思議な感覚を感じて立ち止まった。
繋いでいた手もほどけ、私はその場に立ち尽くす。
手が離れた事で彼もすぐに振り返り、私の様子がおかしい事に気付いたのか、心配そうに眉をひそめた。
「璃帆……?どうしたの?やっぱりさっきからちょっと変だよ?」
「奏樹、聞こえない?この小さな音……まるで鼓動みたいな……今にも消えそうなか細い音が……」
トクン…………トクン…………
彼は耳を澄ませながら辺りをぐるりと見渡すけど、やはり聞こえてはいないようだ。
「風の音くらいしか……」
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