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どこか遠くで、 電話の着信音が鳴っている。 わたしはもぞもぞと 手を伸ばし、枕元を探った。 手に触れた携帯を 布団の中に引きずり込み、 通話ボタンを押す。 「…ふぁい…」 『あ、椎名さん?』 やけに陽気な、男の人の声。 「…ん…。誰…?」 寝ぼけながら訊くと、 くすっと笑い声が洩れる。 聞き覚えのある声に、 わたしの脳が徐々に覚醒を始めた。 「…先生…?」 『ブブー!はっずれ! 惜しいなあー』 先生に似た声のその人が、 朝からかなり ハイテンションである事は 確かなようだった。
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