-1-

6/9
前へ
/40ページ
次へ
***** 「わ。さむっ」 外の空気は冷たくて、 わたしは首に巻いたマフラーを さらにもう一周巻き付けた。 手を擦り合わせながら 階段を降り、門のかんぬきを外す。 「本当に新年なんだね。 実感がわかないなあ」 祐希の言葉がやけに しみじみとして聞こえて、 その生意気さにわたしは 思わず笑った。 車通りのないバス通りを渡り、 いつもの公園の方に向かって 歩き出す。 「それにしても、 ねーちゃん分かりやす過ぎ」 「え…」 「うちのとーちゃんと かーちゃんみたいに 呑気な人じゃなければ、 嘘だって見抜かれてたと思うよ。 挙動不審だし、 OK貰ったときだって 喜びすぎだし」 「…そ、そっか。ごめん」 自分の言動を振り返り、 確かに、と反省する。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

355人が本棚に入れています
本棚に追加