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「わ。さむっ」
外の空気は冷たくて、
わたしは首に巻いたマフラーを
さらにもう一周巻き付けた。
手を擦り合わせながら
階段を降り、門のかんぬきを外す。
「本当に新年なんだね。
実感がわかないなあ」
祐希の言葉がやけに
しみじみとして聞こえて、
その生意気さにわたしは
思わず笑った。
車通りのないバス通りを渡り、
いつもの公園の方に向かって
歩き出す。
「それにしても、
ねーちゃん分かりやす過ぎ」
「え…」
「うちのとーちゃんと
かーちゃんみたいに
呑気な人じゃなければ、
嘘だって見抜かれてたと思うよ。
挙動不審だし、
OK貰ったときだって
喜びすぎだし」
「…そ、そっか。ごめん」
自分の言動を振り返り、
確かに、と反省する。
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