355人が本棚に入れています
本棚に追加
長い参拝の行列に並び、
やっと御社殿の前に辿り着くと、
祐希がおもむろにパンパン、と
手を打って、拝み始めた。
「ゆーき」
ちょんちょん、と肩をつつく。
「何」
「お賽銭、
入れた方がいいかも」
「あ」
祐希は照れ笑いをしながら
慌ててポケットから
小銭入れを降り出し、
準備しておいたのか、
5円玉をふたつ、取り出した。
「せーの」
3人でタイミングを合わせて
投げ入れ、揃って
かしわ手を打つ。
目を閉じて、
一心に合格祈願をしてから
顔を上げると、すでに
拝み終えた祐希の向こう側で、
先生が未だ手を合わせていた。
最初のコメントを投稿しよう!