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「うまいな、これ」
甘酒を口にした先生が
感心したように呟いた。
「でしょ。俺、甘酒は
好きじゃないんだけど、
この神社のは飲めるんだ」
祐希が得意げに言った。
貰う時に先生が
聞いたところによると、
この特製の甘酒は
アルコールと酒粕は使わずに
米麹だけで作っているため、
未成年でも飲めるし、
飲んだ後の運転にも
差し支えないとのことだった。
それをきちんと確認する所が、
すごく先生らしい。
わたしは、紙カップの中を
フーフーしている先生の顔を
こっそり見つめた。
…あんなに長い時間、
何をお願いしてたのかな。
…もしかしたら、
クラスの受験組全員の
顔を思い浮かべて、
合格祈願してたのかも…。
わたしたち受験生も
もちろん不安だけど、
…担任の春山先生の心の中には、
生徒と同じ数の不安と、そして
同じ数だけ願いがあるのだと思う。
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