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薄暗がりでも綺麗な、
先生の瞳に見惚れていると、
「お、椎名じゃん」
わたしと祐希は、
同時にその声に反応した。
「あっ」
祐希が嬉しそうに声を上げる。
「武藤じゃん!!」
わたしはぎょっとして、
近付いて来るその人物に
目を向けた。
「椎名、何だよ、終業式ぶり」
初めて見る武藤の、
やけに立派な眉毛に
目が釘付けになっていると、
唐突に目が合ってしまった。
その眉毛がくにゃりと弧を描く。
「ちょ、…椎名。
お前の姉ちゃん?紹介してよ」
武藤はなぜかいやらしい
笑顔を浮かべながら、
祐希の胸元を肘で
ぐりぐりしている。
「いてて…おい、
ぐりぐりやめろって」
そして祐希はなぜか嬉しそうに、
そのぐりぐりを甘んじて受けている。
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