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「そろそろ、最終バスの時間だ。
ごめんね、萌。
遅い時間に呼び出して」
歩き出そうとする
更科くんの背中を、
わたしは咄嗟に呼び止めた。
「あのっ」
静かな公園に、わたしの声が
弾むように響き渡る。
「更科くんは、美雪さんの夢、
見たりする?」
振り向いた目は、
驚いたように見開かれていた。
「えっと…」
言葉の続きに困って、
目を伏せる。
「美雪さんが泣いてる夢を
見ること、ある?」
「……」
ちら、と目を上げると、
更科くんの綺麗な目に、
前髪が影を作っていた。
しっとりと濡れた瞳が、
輝いて見える。
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