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「手、出して」 「はい…」 言われるまま 手のひらを広げると、 何かがポン、と乗せられた。 「いいわよ」 目を開けると、それは 真新しいお守だった。 「湯島天神できちんと お参りして来たから、 御利益間違いなしよ」 「峰村先生…」 わたしがうるうるした目で 見上げると、フジコ先生は えへ、と照れたように笑った。 「ベタだけど私、 大学受験の時も、 臨床心理士の試験の時も、 ここのお守りを 持ってたのよね。 …今のところ、わたしが これをプレゼントして 落ちた人、いないから。 椎名さんも絶対、合格するわよ」 「…ありがとうございますっ」 わたしは立ち上がって、 ぎゅっと先生の手を握った。
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