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カウンセリング室を出て
昇降口に向かう途中、
角を曲がると、
長い廊下のずっと先に、
背の高いスーツ姿の
シルエットが見えた。
さっきまで教室で
向かい合っていたのに、
その姿が近づくにつれ、
徐々に心臓の音が高くなる。
「お疲れ」
廊下の途中の、広い窓が
作りだした陽だまりに、
春山先生が立ち止まった。
「お疲れ様です…」
わたしも先生の
1メートルほど手前で
足を止める。
「とっくに帰ったかと思った」
「カウンセリング室に
行ってたんです。
峰村先生、今日はたまたま、
午前中だけこちらで
仕事してたみたいで」
「そう」
春山先生は少し身体を屈め、
わたしの顔をじっと見た。
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