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「香水が変わってた
くらいかな…。あとは
気がつきませんでしたけど」
「そっか。…なら、いいや」
春山先生はにっこり笑ってから、
スーツの内ポケットに手を入れた。
細長い紙袋に入ったものを
取り出し、スッと差し出す。
「今日、受験を控えてる
全員に配ったんだ。
…俺からの御守り」
「えっ」
「大したものじゃないよ。
えんぴつ」
わたしはぴょこんと
飛び上がって、一歩進んで
両手を差し出した。
ひょいと袋が逃げる。
「ただし、お前のだけ
特別仕様だから」
「……?」
「そこそこ御利益、
あると思うけど」
もう一度差し出された
鉛筆を受け取って、
ガサガサと中身を開ける。
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