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「これって…」 「俺が受験の時、 使ったやつ。 中古で申し訳ないけど。 ちなみに当日しか 使ってないから、 血と汗と涙は沁み込んでない」 袋の中には、 きれいに削られた 深いグリーンの鉛筆が3本、 入っていた。 感動のあまり胸を じーんと痺れさせながら、 わたしはぺこりと頭を下げた。 「ありがとうございますっ」 「どういたしまして。 ここからが勝負だから、 頑張って」 「はいっ」 「…そうだ。 さっき選別が終わったんだけど、 お前、あさってからの 特別授業の対象に 入らなかったから」 「…そうですか…」 先生は可笑しそうに、 「なんでがっかりするんだよ。 結果がめちゃめちゃ 良かったからだろ」 「……」 「これから本番まで、 塾の方でもカリキュラムが 組まれてると思うから、 そっちでがんばって」 「…はい…」 …もう、学校に 来なくていいんだ…。 先生に会えなくなる事への 実感が湧いて、 わたしの心は ずぶずぶと沈んで行った。
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