314人が本棚に入れています
本棚に追加
「3回起こしても
起きなかった人と、起こして
『うるさい』って言った人は
もう起こさなくていいっていう
ルールが、椎名家にはあるんです」
「そうなんだ」
先生は一瞬考えて、
プフッと吹き出した。
「そのルール作ったの、
あのお母さん?」
「そうです」
「きっとこれからも平和だね、
椎名家は」
「ありがとうございます、
そう思います」
よほどツボだったのか、
先生はしばらく横で
クスクスと笑っていた。
油断せずに太陽の出現を
待ちわびていると、唐突に
くしゃみが飛び出した。
鼻を啜ると、先生が
真後ろに回り、両腕の間に
わたしの身体を閉じ込め、
手すりに手をかける。
冷たい風が遮られ、
身体がほんのりと
温もりに包まれた。
最初のコメントを投稿しよう!