314人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
「3回起こしても
起きなかった人と、起こして
『うるさい』って言った人は
もう起こさなくていいっていう
ルールが、椎名家にはあるんです」
「そうなんだ」
先生は一瞬考えて、
プフッと吹き出した。
「そのルール作ったの、
あのお母さん?」
「そうです」
「きっとこれからも平和だね、
椎名家は」
「ありがとうございます、
そう思います」
よほどツボだったのか、
先生はしばらく横で
クスクスと笑っていた。
油断せずに太陽の出現を
待ちわびていると、唐突に
くしゃみが飛び出した。
鼻を啜ると、先生が
真後ろに回り、両腕の間に
わたしの身体を閉じ込め、
手すりに手をかける。
冷たい風が遮られ、
身体がほんのりと
温もりに包まれた。
最初のコメントを投稿しよう!