-3-

3/7
前へ
/28ページ
次へ
「3回起こしても 起きなかった人と、起こして 『うるさい』って言った人は もう起こさなくていいっていう ルールが、椎名家にはあるんです」 「そうなんだ」 先生は一瞬考えて、 プフッと吹き出した。 「そのルール作ったの、 あのお母さん?」 「そうです」 「きっとこれからも平和だね、 椎名家は」 「ありがとうございます、 そう思います」 よほどツボだったのか、 先生はしばらく横で クスクスと笑っていた。 油断せずに太陽の出現を 待ちわびていると、唐突に くしゃみが飛び出した。 鼻を啜ると、先生が 真後ろに回り、両腕の間に わたしの身体を閉じ込め、 手すりに手をかける。 冷たい風が遮られ、 身体がほんのりと 温もりに包まれた。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

314人が本棚に入れています
本棚に追加