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「先生」
「ん?」
「あったかい」
「…うん」
わたしは、先生の右腕に
こてんと頭を乗せた。
「先生も?」
「え?」
「先生も、…あったかい?」
「…うん、あったかいよ」
先生の腕が、わたしの身体を
後ろからぎゅっと抱きしめた。
「椎名」
「…はい…」
先生の口元が、耳の
すぐ傍に降りて来る。
「改めて、言うけど」
直接耳に届く先生の声に、
ぴくりと身体が揺れる。
「卒業式の夜、…空けておいて」
わたしは思わず、
先生のコートの袖を
ぎゅっと握りしめた。
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