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祐希は上機嫌で、 手すりに駆け寄り、 身を乗り出した。 「めちゃめちゃキレイじゃん。 …すげー、初日の出、かっけー」 弟を邪魔ものにしたために、 早速今年初めての バチが当たったわたしは、 深く反省しながら 美しい日の出を見つめていた。 はしゃぐ祐希の 背中の向こうで、 周りの雲をオレンジ色に 巻き込みながら、朝焼けが ゆったりとした速度で 空を染めていく。 「きれい」 ぽつりと呟いた時、 くいっと横から手を引かれた。 驚いて顔を上げると、 先生が身を屈め、 祐希の目を盗んで素早く キスを落とした。
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