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「しょーいーんせーんせっ!!」
「おっと、いきなり飛び付くと危ないですよ?春」
そう言いつつも穏やかな笑みを浮かべて私を支えてくれるこの人は、吉田松陰先生。
私、雛山春の大好きで大好きでたまらない師。
「大丈夫!!だって松陰先生は絶対に落とさないって信じてるもん」
「おやおや、責任重大ですね」
背中に飛び付いた私を落とさないように抱えてくれるのが嬉しくて、益々強く抱きついた。
松陰先生の背中はとてもおっきくて、安心する。
「また君はそうやって先生にくっついて…邪魔者は排除しなくちゃね?」
「ぎゃっ!!出たっ」
「失礼な、人を妖怪みたいに言わないでくれる?」
突然後ろ衿を掴まれて、無理矢理松陰先生から離される。
その張本人であるこいつ、吉田栄太郎は、何かと私の邪魔をするやな奴だ。
「せっかく松陰先生と二人でお話してたんだから!!邪魔しないでよ!?」
「君が一方的にくっついて先生に迷惑掛けてただけでしょ?」
「なっ!?…っ今日という今日は許さないっ!!」
「悔しかったら捕まえてごらんよ、まぁ春には無理だろうけどね」
「待ちやがれ栄太郎ぉぉぉおお!!」
「あっ、こら二人とも!!」
馬鹿にするだけ馬鹿にして走り去る 栄太郎に腹が立って、松陰先生の静止も振り切りそりゃもう全速力で追い掛ける。
それなのにここぞ、という時にするりと避けられてしまって、なかなか捕まえられない。
こっちは必死だっていうのに、余裕顔で私の方を振り返りながら走る栄太郎に余計に怒りが湧いてくる。
「待てって言ってるでしょ!?」
「待てって言われて素直に待つわけないでしょ?そんなことも分からないなんて、春はやっぱり馬鹿だね」
「うっさい!!大人しく捕まれ!!」
「やだね」
そう言ってさらに速さを上げる栄太郎。負けてられるかと私も足をこれでもかと動かして、もうちょっとで手が届きそうになったその瞬間、
「はい、俺の身代わりになってね」
「は?ちょ、何が…ってうおぁっ!?」
「え、嘘!!止まれなっ…ぎゃぁぁあっ」
突然目の前に誰かが現れて、勢いがつき過ぎて止まれなかった私は、見事にそのまま突っ込んだ。
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