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「全く、相変わらず騒がしい牛ですね。牛は牛らしく草でも食べてればいいんですよ」
「…げ、玄瑞??えっと…今のは玄瑞がやったの…?」
「そうですよ。女子に対する暴言は許し難いことですからね。春も一応女子の部類に入りますし、ね?」
「…は、ははははは」
爽やかな笑顔でさりげなく暴言を吐くこの人は、久坂玄瑞。
一見人の良さそうな顔をしてるけど、実は一番腹の中が真っ黒だったりする。
その細身の体のどこから、晋作を吹き飛ばすほどの力が出るのか教えてもらいたい。
「あーあ、晋作の奴、自業自得だね。玄瑞はこう見えて紳士なんだから」
「こう見えて、は余計ですよ?栄太郎」
「…いや、そもそもの原因は栄太郎でしょ」
自分が晋作を巻き込んだというのに、素知らぬ顔で笑っている栄太郎を見てると、なんだかドッと疲れが…
というか、誰も晋作の心配を、しないのね…まぁ私もしないけど。
私からすれば、晋作は成敗されてしかるべきだしね!!
「皆さん、そこまでにしましょうね?いつまでもそんな調子だと、晋作が浮かばれません」
「……いや、牛はまだ死んでいませんよ、先生」
「九一、これはただの冗談ですよ?」
そんな風に、冗談に聞こえない冗談を言いながらこっちに歩いてくる松陰先生。
そして、その先生に突っ込みを入れる口数の少ない彼の名は、入江九一。
多分、この中では一番常識人だと思われる。
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