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甘い夢を売る店かぁ。
しかし、
老舗だけに、正直、古くさいイメージは払拭できない。
年配の人は、カステラや、桃のケーキも売ってるから馴染みあるだろうけど。
「だけど……ここにしかない、斬新なオリジナルを作らないと、お洒落な新しい店には勝てないよね」
卵を割りながら、ちょっと偉そうな事を言ってしまった。
「粉ふるいもまともに出来ない不器用が、生言ってんじゃねーよ」
…………ほら、
怒られた。
「でも、卵割るの、うまくなったな
さすが主婦だ」
かと思えば、正造は、
今日の山岡工場長のように私を誉めてくれる。
「生地にトマト混ぜるぞ」
クリーム色の滑らかな生地に、ピンクに近いトマトが、
渦を巻いて、くるくるキャンディのように混じっていく。
これだけで美味しそう。
「レモン汁も入れておくか」
「やっぱりチーズも入れましょうよ」
「やかましい」
揚げないドーナッツ、
自然なピンク色の可愛いドーナッツ。
その
出来栄えは…
「酸っぱいな」
今日のところは、失敗に終わる。
「お疲れ様でしたー」
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