第3話 #4

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「古臭い………」 確かに、それは私も思っていたこと。 「今時、あんな激甘の和菓子売れやしないのに、昔と変わらない技法で作ってるし、 ケーキもオーソドックスなのしかない、 デザインも昭和のまんまだしな」 だけど、山岡工場長は、何も変えようとはしないで、ただ、オーダー分作るだけで、 雇われてるから、義務的なんだと、 そう思い込んでいた。 「だけど、そんな洋菓子屋が長崎県に一つ位あってもいいじゃないかと、 そう思うようになったんだ。」 床のモップがけを終わらせた山岡さんは、 無口になった私をチラッと見て、 「お前を独り占めした正造のことは、 好きじゃねえよ」 先ほどの問の答えを、ニヤッとして返してきた。 「!」 ドキドキ……………… 昨夜の熱い絡みを思い出してしまう私は、 「何、顔 赤くしてんだよ?」 やっぱり、スケベなのかもしれない。
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