第3話 #4

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「普通は、調停人だけで、くるんじゃないの?」 自宅に戻る前に、病院に寄ると母が心配そうな顔をする。 「そうなの?でも一緒にくるって」 明日の退院を前に、持って帰れるだけの荷物は今日のうちに持っていくことにする。 「あくまで、調停は、中和人だからね。条件をかならず飲まなくてもいいし、最悪裁判でも争えるから」 優の浮気の証拠を持っている事を知った母は、親権も、監護剣も、慰謝料もとれると言い張る。 「私は、芹南と暮らせたらいい。お金は最低限で構わない」 養育費がいくらが妥当だとか、そんな情報はとっくに入っていたけれど、 とりあえず、子供は返してもらいたい、 ただ、 それだけ。 「明日なら、お母さんもいるのに」 「心臓に良くないでしょ?」 「今だっておんなじだよ!」 ………………1人、立ち向かう覚悟はできていた。 ピンポーン。 玄関のベルが鳴る。 心臓が暴れだした。
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