第3話 #4

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「泊まっても、大丈夫なの?」 身体は疲れているのに、ドキドキが加速する。 「大丈夫さ、 親父が、ここに帰って来ることは、もう無いしな」 「………………そんな」 ………こと、 ″ ない ″って言えない現実が悲しい。 「お風呂入るなら溜めるけど?」 「あ………え、と」 ソファーから立ち上がる正造。 「それとも、シてからがいい?」 「………………何を?」 切なさは 加速しているのに、 男女の欲望は、そのまま形も変えずに健在で 「………キス、とか?」 職人の癖に綺麗な指を持つ正造が、 私の両頬を包み込んで 「………………″ とか? ″ なに?」 「言わせるのかよ? 俺の口は上品だけど、卑猥だぞ」 優しい言葉を出せない私の唇を、 歯みがき粉のミントの匂いのする唇で 覆ってしまうから 「ズルいな、自分だけ、歯磨いて………」 不謹慎だと分かりながらも、 卑猥な絡みを 求めてしまう。 唇を解放してもらえないまま、 私は 正造の腰に手を回して、 ジーンズと、下着の間の皮膚の滑らかさに任せ、 その敏感なところを 指でとらえた。 正造の呼吸も、 私の呼吸も、 余裕がなくなった。
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