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「泊まっても、大丈夫なの?」
身体は疲れているのに、ドキドキが加速する。
「大丈夫さ、
親父が、ここに帰って来ることは、もう無いしな」
「………………そんな」
………こと、
″ ない ″って言えない現実が悲しい。
「お風呂入るなら溜めるけど?」
「あ………え、と」
ソファーから立ち上がる正造。
「それとも、シてからがいい?」
「………………何を?」
切なさは 加速しているのに、
男女の欲望は、そのまま形も変えずに健在で
「………キス、とか?」
職人の癖に綺麗な指を持つ正造が、
私の両頬を包み込んで
「………………″ とか? ″ なに?」
「言わせるのかよ?
俺の口は上品だけど、卑猥だぞ」
優しい言葉を出せない私の唇を、
歯みがき粉のミントの匂いのする唇で
覆ってしまうから
「ズルいな、自分だけ、歯磨いて………」
不謹慎だと分かりながらも、
卑猥な絡みを
求めてしまう。
唇を解放してもらえないまま、
私は 正造の腰に手を回して、
ジーンズと、下着の間の皮膚の滑らかさに任せ、
その敏感なところを 指でとらえた。
正造の呼吸も、
私の呼吸も、
余裕がなくなった。
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