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そんな正造をチラッと見ると、それに気づいた奴に
『ばあか』
と、口パクであしらわれてしまう。
「………………………」
心臓に悪い。
ドキドキする手で、焦げたパイ生地を鉄板からゴミに捨てながら
″ 知られたくない ″
という思いが強くなる。
遊んでいた過去があったにしても、
今は仕事に情熱を注いで、真面目な人間になっている。
そんな男が、浮気を知ったら
『きっと、こんな風にザックリ手早く捨てられてしまう』
だけど、
優に弱味を握られたような気もして、
黙り通すことは、不可能なんじゃないかとも思っていた。
「何が食べたい?」
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