第3話 #5

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そんな正造をチラッと見ると、それに気づいた奴に 『ばあか』 と、口パクであしらわれてしまう。 「………………………」 心臓に悪い。 ドキドキする手で、焦げたパイ生地を鉄板からゴミに捨てながら ″ 知られたくない ″ という思いが強くなる。 遊んでいた過去があったにしても、 今は仕事に情熱を注いで、真面目な人間になっている。 そんな男が、浮気を知ったら 『きっと、こんな風にザックリ手早く捨てられてしまう』 だけど、 優に弱味を握られたような気もして、 黙り通すことは、不可能なんじゃないかとも思っていた。 「何が食べたい?」
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