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第3話 #5
『優は、今でも苺のことが好きだよ』
和泉の言葉を思い出した。
それを信じたいとも思わない。
「苺の身体は、芹南のものだったから」
子供を生んで、授乳するようになってから
二人の間に男女の関係はなくなって
「他の女で我慢してたんだよ」
この間キスして、当時の寂しかった気持ちを思い出してしまったけれど
「この胸は、
聖域だった」
今は,触れられる事に、嫌悪感しか感じない。
先ほどまで芹南が寝ていた座布団に倒されて、
芹南の残り香が鼻に入り込んで、
一瞬、
気持ちが落ち着きそうになったけど、
「身体で繋がったって、
復縁はないからっ………」
もう気持ちはないのに
行為だけが復元されても
ただ、悲しいだけ
「快楽から来る幸福感や、一体感もあるよ」
優の声が、
まるで遠くから聞こえているみたいだった。
寒くて仕方ないのに、
露出されていく肌は、
自然と、
以前の体温を吸収しはじめて
「やり直そう」
明るい天井と、時々 それと交互に
揺れる優の肩を見つめていた。
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