316人が本棚に入れています
本棚に追加
「…どしたの」
「佐緒里…?」
肩を揺すられ、佐緒里は
真っ赤になった目を上げた。
「私も、…春山先生のこと、
好きだった…」
「ええっ」
皆が目を丸くする中、
わたしは黙って
佐緒里の顔を見つめていた。
ゴミ捨て場に向かう途中、
彩加と一緒に目撃した、
自動販売機の前での
シーンを思い出す。
「うち、お父さんの
再婚の事で色々あったんだよね。
それで、話聞いて
もらってるうちに、
どんどん好きに
なっちゃって…。
だってあの人、
本当に優しいんだもん。
どうしても諦められなくて、
抱きついて必死で告白したけど、
…相手にしてもらえなかった…」
「……」
はらはらと零れ落ちる涙に、
わたし達が声を
かけられずにいると、
「佐緒里、泣かないで」
ユカが佐緒里の肩を抱いて、
二人はしくしくと泣き出した。
最初のコメントを投稿しよう!