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「ねね。駆けっこしよ」
「ん?」
空の夕暮れ色が川瀬にキラキラと反射して
なんだか、見慣れた風景でも幻想的だなんて思う
そんな
とある放課後。とある夕方。とある土手。
ふと、視線を下げるとどんどん延びていく影をみて私は1つ思い付いた
「駆けっこ。」
「勝負にならないんじゃ?」
先輩は運動神経がムカつくくらいい‥‥
私は女子の中では早い方なんだけれど敵いはしない
もともと負けず嫌いの私は男女ってだけで大幅に差が開いてしまうことが悔しくてしょうがないのだけれど
先輩にはそうじゃなくても勝てないだろうなって思う。
「うん。だから、ハンデつけて」
「どんな?」
「同時にスタートして私がゴール地点まで先輩の影の踏める位置にいたら私の勝ち。」
先輩は説明を聞くと影?と呟き振り向いて2つの延びる影を見る
長さは1メートルは軽くある
「いいよ。」
「ホント?」
そう一言了承すると私のカバンが手から消えた
「へ?」
「ゴール地点置いてくる」
視線を上げるとゴール地点の鉄橋下へと駆け出す先輩の背中を見送った
「やっさしいなぁ‥‥」
何事にも無頓着な先輩
でも、だからこその
飾らない優しさがすごく好きだ。
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