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「4月1日から入社式で‥‥それからはきっと今までのように遊べなくなっちゃうんだなって考えちゃうと少し寂しくなります。」
結局、追いかける事を諦めてしまった私は‥‥あと数日で社会人となる。
そんな中。
先輩から突然呼び出され、久しぶりの再会となった。
自身の夢を追いかけて進学した先輩。
夢を諦めて親の言うままに就職してしまった私。
もう、今は同じ場所を目指して駆けだす資格すら失ってしまったんだと思い、今更こんな事を考えてしまっている自分自身に自嘲的な笑みが零れた。
「先輩は‥‥学校の方どうですか?」
「まぁまぁ。」
「そっか‥‥」
それにしても‥‥自分から呼び出してきた癖に、随分反応が鈍い。
そしてさっきから只管に動かし続けている足‥‥
「先輩‥‥どこに向かっているんですか?」
「河川敷。」
「!」
以前、私は先輩に駆けっこの勝負を仕掛けたことがあった。
ただの駆けっこじゃ勝負にならないから影踏みが出来ていたら私の勝利で・・・ぎりぎりで私が勝つことが出来たんだ。
私は一年前。その河川敷で先輩に思いをぶつけた。感情の暴走と言ってもいい様な、とても告白とは言えないものだったけど。
あの時、私ははっきりと自分の気持ちを自覚した。
怖くて、意味のわからない懇願だけして。そして、私たちは別れた。
‥‥あの河川敷に?
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