後半

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「鞄。」 あの時は学年が違うから色違いのカバンを二つ持って鉄橋下に置きに行った先輩。 もう、その色違いの学生カバンを持つことも無い‥‥。 「‥‥お願いします。」 そっと紺色のショルダーバックを渡す。 もう一度、一緒に走ってもらえるのだろうか‥‥。 また‥‥勝つことが出来るのだろうか。 「ただいま。」 「おかえりなさい‥‥先輩?」 色んな疑問を詰め込んで呼んでみたけれど、彼は当然のように1年前と少し景色の変わったスタートラインに立って私に促した 「今回も、影でいいか?」 「はい。」 緊張した足取りで私もスタート地点へと並ぶ。 口の中が嫌に渇くけど‥‥これだけは聞きたい。 「行くよ。よーい‥‥」 「先輩。あの時の」 「わかってる。‥‥よーい、スタート。」
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