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勢いに任せて掴んだ手がふるえる
不思議そうに先輩は私の名を呼んだ
「‥‥くやしい」
先輩の声にはあえて応えず
自分でも驚くほどかすれた声で独白した
「くやしい‥‥いや、そうじゃなくて」
相変わらず回転数の戻らない頭に更に混乱が加わり
すでに思考はぐちゃぐちゃになってしまってる
それをもお構い無しに壊れた玩具の如く止まらない言葉を積み上げていく
「そう。私は負けたのに悔しいんじゃなくて‥‥
悔しい‥‥?ううん、違う。」
今の感情が、それが言葉に定まらない
「‥‥‥寂しくて、悲しい?
いや、悲しいより切ない‥‥」
延々と大混乱の中独白を続け
その言葉が出てきた途端、なんだか肩の力が急に抜けた
「先輩。
また、こうやって駆けっこできますか?」
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