星術士と用心棒

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        *  *  *  住む場所の気候が変われば、当然建物の構造も変わる。火山の麓に作られた街の建物は、暑さに適応するために風通しの良い作りになっているものである。  広い国土を持つキルシュ帝国の南東、火山の街ハルニゲア。  星術士の少女クーシェは、街の中央部に位置する星術士ギルドの一室にいた。 「お願いします! どうしても今火山の探索をしたいんです! 今でなくてはダメなんです! どうか、ボクに許可をください!」  幼さを残した少女の高い声が響く。  クーシェは必死に頼み込むのだが、ギルドの男はカウンター越しに首を横に振るばかりだった 「ダメだ。今、あの山がどんな状況かあんたもわかっているだろう。いくら国家認定の星術士とはいえ、まだ成人もしていない女の子が一人であの山に入るなんてありえない。自殺行為だ」 「ボクなら大丈夫です! 過去に二度一級指定区域での探索に成功したこともあります。絶対にあなたには迷惑をかけません」  クーシェはさらに語調を強める。ここで引く訳にはいかなかった。年端もいかない少女。そんな言葉で引いていてはなんにもできない。 「迷惑をかける、かけないの問題じゃない。国家認定の星術士は帝国の宝だ。年端もいかないということは、これからの未来があるということだ。万が一にも危険にさらすわけにはいかない」 「この探索は帝国に必ず益をもたらすものだと約束します! だから……だから……!」  
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