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始めは笑いながら 聞いていた皆が、 いつの間にか神妙な 表情に変わっていた。 ハンカチを口元に当て、 涙ぐんでいる女生徒もいる。 春山先生は、 そこで言葉を切って、 じっとわたしたちの顔を 見渡した。 一人ひとりの顔を 心に刻み込むように、 …教壇からの眺めを、 目に焼き付けようと するかのように、 …先生はしばらく、 無言でそうしていた。 「…楽しかったよな」 ポツリと呟く。 「1年間、 めちゃめちゃ楽しかった。 本当は、…もう少し お前らと一緒に 過ごしたかったけど…。 …って、…これは、 門出を祝うべき 担任が言う事じゃないか」
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