バレンタインデー

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「思った通り、柔らかい」 「先輩……」 触れられたところが、熱を持ったかのように熱い。 じんわりと広がっていって、多分僕は今、顔が真っ赤だろうな。 「千裕くん、」 「はい…」 「俺ね、人より独占欲強いし嫉妬深いんだ」 「そうなんですか?」 「うん、きっと千裕くんを困らせてしまうと思う。 ……だけど、こんな俺でも良かったら、付き合ってほしい」 静かな図書室に響いた先輩の声。また涙が込み上げてきた。 結局、何とか僕が紡ぎ出した言葉は一言だけ。 「はいっ……!」 [完]
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