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その日を境に、教室でも宮原とよく話すようになった。
週に1、2回のペースでピアノを弾きに行く宮原に、俺もついていく。
音楽室で過ごす、2人の時間が楽しい。
「これ知ってる。何て曲だっけ?」
「エリーゼのために、だよ。」
「そっかー。」
家にこのオルゴールがあるんだけど……出だしが怖くて何となく好きじゃなかったな。
「やっぱり俺は、ジュ・トゥ・ヴが1番好きだわ。」
「…………。」
反応がなくて、宮原を見ると
困ったような…少し泣きそうな表情をしていた。
「どうかした?」
心配になって顔を覗き込むと、
「僕、帰るね。」
立ち上がって、音楽室から出て行った。
「……俺、何か変なこと言ったかな?」
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