武道場で

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「……あれ、誰かいる。」 夕暮れで染まった武道場の隅に、誰かが座っていた。 「藤野先輩……?」 呼んだら、顔を上げた制服姿の先輩と目が合った。 「あ、米田か。ごめん、鍵閉めに来たんだよね?」 「は、はいっ……」 入部して僅か2ヶ月。 只でさえ部員が多い上に、1年と3年じゃ滅多に関わることはなかった。 それなのに、すぐ名前を呼んでくれた藤野先輩に、僕は嬉しくなった。 「先輩は、何されてたんですか?」 「今日の稽古で竹刀 割れちゃったから、修理してた。」 手に持っていた竹刀を軽く振って、少し微笑む。 そんな姿もかっこいい。 ………って、僕!何 考えてんだよ!
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