196人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ………。」
その人はフワッと微笑んで、カウンターから動けないでいる僕の方へゆっくりと歩いてくる。
その距離、およそ5メートル。
「君、名前は?」
凛とした、とても澄んだ声が
自分たち以外は誰もいない図書室に響いた。
「あ……え、と…1ー3の…松葉、千裕(マツバチヒロ)です…」
「そう…千裕くん、ね。」
ドクンッ
名前を呼ばれただけなのに、全身の血が逆流したかのように感じた。
最初のコメントを投稿しよう!