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―そして、僕にとって忘れることの出来ない日。
藤野先輩たち、3年生の引退試合を迎えた。
今日が終われば、もう先輩と一緒に稽古をすることはない。
……考えただけで泣きそうになった。
「頑張ってください!!」
「うん、応援よろしくね。」
試合場に立った先輩の表情は、いつもの優しそうな雰囲気とは打って変わって、鋭いものになる。
「イヤアァッッ!!」
引退試合だからか、一試合目から気合いの入り様も違うように思える。
順調に勝ち進んで、ベスト8が決まった時。
「あっ……」
トーナメント表を見た僕は、心の奥底に潜んでいた気持ちが沸き上がるのを感じた。
『明成工業……壱川 克己』
「…………。」
組み合わせ的に、2人が戦うのは決勝戦。
県大会の記憶が蘇った……。
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