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閉会式が終了して、先輩の元へ行こうと姿を探したが、見当たらない。
―外に出たのだろうか?
出入口のドアを開け、まだ熱気に包まれる会場を後にした。
細い通路を抜けると、シンと静まり返った廊下に藤野先輩はいた。
「せんぱっ……」
口に出しかけて、飲み込む。
薄暗いその場所で、先輩はキスをしていた。
(何で……、よりにもよって
壱川選手と……?)
愛しそうな表情で、口づけを繰り返す先輩。
まるでドラマのワンシーンを見るかの様に、僕はそれを呆然と眺めていた。
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