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会場に戻ると、同級生が駆け寄ってきた。
「なぁ、藤野先輩知らねぇ…って、おい?大丈夫かよ!?」
「………え?」
ボロボロと涙が溢れ、頬をつたっていた。
「具合悪いのか?どっかで休む?」
「ん、大丈夫…だから。」
制服の袖口で涙を拭った。
…さっき見たことは、忘れよう。
そう自分に言い聞かせる。
でも、藤野先輩が帰ってきた時
また鼻の奥がツンとして、確信した。
あぁ、僕はこんなにも先輩のことが好きだったんだ………。
今さら気付かされた儚い想いに、どうすることも出来ない16歳の夏。
[完]
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