放送室のあの子

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「じゃあ、気を付けて帰れよ」 生徒指導の先生が去って行って、俺たちも歩き出す。 正門を抜けてから、ようやく俺は 口を開いた。 「さっき、ありがとな。助かった。」 「あの先生 怒ると面倒だもんね。」 クスッと笑う安藤。 近くで聞いた声は紛れもなく、あの放送と同じだ。 風が吹いて、安藤の長い前髪がさらさらと靡く。 その下からは、普段めったに見ることのない素顔が覗いた。 (か、かわいー……) 息をするのも忘れて、守はじっと見詰めた。
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