中庭で会う

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「ついてくんな」 先を歩く廣瀬が、鬱陶しそうに此方を見る。 切れ長の瞳。 睨まれてんのに、ドキッとした。 「うっせぇ。俺がどこに行こうと関係ないだろ」 負けじと睨み返せば あっそ、と言って足を早める。 クソッ、ほんとムカつく。 何で話したこともない奴に、こんな避けられるんだ。 「お前、俺のこと嫌いなのか?」 ふと思い浮かんだことを口に出せば、廣瀬が立ち止まった。 「わっ!」 勢い余って、背中にぶつかる。 「急に止まんなよ!」 「……嫌いだな」 「あ?」 ヒリヒリと痛む鼻を押さえてると、上から廣瀬は冷やかな視線を送ってきた。
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