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「すまないな志紀、私の話に長々と付き合わせてしまって。」
「いや気にしないでよラグス、結構楽しかったからさ。」
それにしても実に有意義な時間だった。
ラグスの話の大部分が嫁さんとのノロケだったけど、そのノロケの内容が勇者を踏みつぶしたとか丸呑みしたとか気に入らない街を崩壊させたとかなんとか、とにかく僕からしたらどれも心躍る話だった。
いやぁ、美味しい林檎を作るために試行錯誤する時間と同じくらい素敵な過ごし方をしたよ。
「それにしても志紀、腹は減っていないか?」
「んにゃ、あんま。そもそも元から食べない方だし。」
基本的に僕は林檎が主食だし、後はお菓子とかお菓子とか林檎とか食べて過ごしてたし。
不規則極まりないと、良く八尋に怒られたけど。
「それは見過ごせないな、志紀。今から狩りに行くぞ。」
「…………えー。」
そんなことをラグスに話したら、ラグスのお祖父様はどうやら母親属性を持っていたらしい。
しまった、言わねば良かった。
面倒そうなことが増えたぞ。
「志紀、狩りは出来るか?」
「いや無理、僕の通常スタイルは引きこもりだし。」
しかしラグスのお祖父様が僕の心境を知るはずも無く、話を進めていた。
まぁでもいいよ、諦めが早いのは僕の長所だよ。
「ならば、私が一から教えてやろうじゃないか。解体などの技術は覚えておいて損は無い。欠点も分かるしな。」
「………………うん、よろしく。」
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