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「志紀、帰ろ?」
何の役に立つかイマイチ分からない今日最後の授業である社会科を終え、無駄が多いホームルームも終わり早く帰ろうとノートと筆記用具をカバンに詰め込んでいると、僕の前方から声がした。
手を休めることなく声のした方向へ視線を向けると、多分幼なじみの八尋が爽やかな笑顔を浮かべて僕のことを待っていた。
後ろには面だけは良いハーレム共を当然の如く侍らせて、ね。
「…………………ん。」
ハーレム共は僕に来るな、というアイコンタクトを送って来るけどここで断ったら八尋があれこれ言うから今度は手のひらを返して来いになるんだろうな、ということを考えながら一言で応対すると、八尋が鬱陶しい表情を作り上げ、早く行こうと言わんばかりに僕の手を引いて教室を出た。
教室を出れば女子の醜い争いが勃発、無論八尋を求め合ってのこと。
「八尋!今日はあたしと遊ぼ!」
「八尋さん、そんな野蛮人は放っておいてワタクシとお茶しませんこと?」
「………せんぱ、…わたしとあそぶ…。」
「きょ、今日はアナタと遊んでさしあげてもよろしくてよ!?」
………………なーんていうやり取りが行われている中、僕は我関せずの態度で一歩所か二十歩くらい下がった場所でビッチハーレム共と八尋の遊戯を横目で観察しつつ、常備している林檎をかじる。
林檎って美味しいよね。
僕はアイスも好きだけど、林檎が一番好きだ。
「みんなっ、ちょっと待って!待ってってば!
志紀も見てないで助けて!」
「…………やだ。」
いつもの様に助けを求めて来る八尋を一蹴して、もぐもぐと林檎を咀嚼し、その食感を楽しむ。
ハーレム共は僕のことなど眼中に無いようで、未だに言い合い取り合いをしてあり、なんともまぁ優雅さ所か余裕の欠片も無い。
発情期か、お前等は。
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