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「………………えー。」
こういうパターンっすか、と誰かにツッコミたくなるのに僕が視認出来る範囲に人らしき人はいないし、いつの間にか僕の足元に存在していた白猫は驚異的なジャンプ力で僕の肩に上りデローンとなってるし。
とりあえずどうすることも出来ないしする事も無いと判断した僕は、真っ暗闇の中寝ることにした。
が、ここで重大なことを忘れていたと気付く。
…………枕が、無い。
自分でも中々幼稚だとは思うが、僕は枕が無いと寝れない派であり尚且つ自分のベッドでないと熟睡出来ないのだ。
そうなるとつまり、僕は自室でないと寝れないということになる。
これまで自室でしか寝たことがない僕にとっては、それは盲点だった。
「貴様は馬鹿にゃにょかにゃ?」
「いや、僕の成績はオール5だ。」
「そういうことじゃにゃいにゃ。やっぱ馬鹿にゃにょだ。」
「猫が喋っているのを見て冷静な僕は少なくとも他の一般人より柔軟で賢い。」
そう、先程から会話をしていた相手は僕の肩に居座る白猫である。
それにしても、猫とは喋る存在なのだな。これをマスコミ共に売れば、きっと莫大な利益に繋がるだろう。
「売るにゃ売るにゃ。それに貴様はもう元の世界には戻れにゃい。」
「へー、じゃあ僕一生ここにいるの?」
別にそんなことは予想出来てはいたから驚きはしない、問題はこの暇がいつまでも続くか、だ。
自称他称が気分屋快楽主義者である僕にとって、何もない暇しかないは唯一無二の天敵であるから。
「んにゃ、ボクと取引をしてくれれば貴様が飽きにゃい世界を提供してやるにゃ。」
「…………飽きにゃい、世界?」
不覚にも、その言葉に惹かれた。物凄く。
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