転生、するらしいです。

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「フェイエノールト、姓は取り上げられたから特に無いな。」 「で、略してフェイか。安直だね、意外と。」 「略したのは先程から空気になってるこの猫だがな。」 そう何処か楽しそうな顔をしながらフェイは白猫ちゃんに手を伸ばすと、白猫ちゃんはその手を華麗に躱し何故か二本足で立つ。 …………え、猫って二本足で立てるの? 「ボクはシロネ。名前にこを付けたら白猫になるシロネだよ。」 「え、じゃあそもそも白猫じゃない訳?」   「うむ、そもそも形を取るだけなら猫じゃなくても構わない。」 「ふーん?」 まぁ別にさして興味も無いので気の抜けた返事になったけど、シロネは気にして無いっぽいので僕も気にしないことにした。 そしてそろそろ目が慣れ始めた頃、僕はフェイに問い掛ける。 「ねぇ、この空間なんとかならないの?自分達の色だけが浮いてて気持ち悪い。」 「ああ、すまない。」 僕に問いにフェイが謝ると、シロネがふんっと鼻を鳴らし、尻尾を左右に揺らす。 白が揺れる度にこの空間は色を取り戻し、数回揺れると世界は色彩に帯び僕の目は漸く普通を取り戻した。 「ありがとうシロネ、助かった。」 「こんなことは朝飯前。」 シロネに礼を言うと、僕は普通の室内へと切り替わった辺りを見回す。 部屋は二十畳程で、床にはふかふかとしたカーペットが敷かれており僕から見て左側にはテレビ、その前にはガラステーブルにソファが配置されていて、右側に視線を移せばパソコンが三台置かれているテーブルと、それを囲う様にある椅子。 基本的に黒を基調としているのか、いい感じにシンプルでボクとしては好感が持てる部屋だった。 「一応、ここは俺が地球で借りてるマンションなんだ。」 「神様はもっと豪華な所に住んでいるかと思ったよ。」 「豪奢な物が好きなのは腐った奴と一部例外さ。」 そんな風に雑談を繰り広げようとした所で、僕は思い出す。 「フェイ、時間は大丈夫か?」
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