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「あら、ようやくお目覚め?」
扉が開いたその先、そこにはさっきと変わらない白い部屋が広がっている。
だが、その中心には白い部屋には異質で一際異彩を放つ存在がいた。
白い部屋とは対照的な黒を基調としたセーラー服。
あれは天津ヶ丘学園の女子生徒が着用している物だ。
冷え切っていた頭にようやく現実味のある温かさが感じられた。
自分の他にも人間がいたのだ、それも同じ学園の人間が。
その現実に思わず目頭が熱くなりそうだ、ほんの些細な事に感動をおぼえる。
自分以外の人間がいる事にこんなに安心するなんて……こんなに涙脆い事は無かった筈なんだが……
気の遠くなるような長い時間、誰かに会いたいと思っていた。
大袈裟だが、今の俺はそれだけでなんとかこの状況に活路が見出せるようになった。
彼女の名は確か……初白 詩音(ハツシロ シオン)だったか。
白に近い黄色、つまりクリーム色の髪。
例えるならそう、上質な絹みたいだ。
ガラス細工みたいな紫の瞳、日本人離れした人形のような容姿。
彼女は俺のクラスメイトであり、学園のマドンナでもある。
学園の中には彼女のファンクラブが存在し、会員は実に学園の六割を超える。
因みに俺も彼女のファンクラブの会員だ、会員カードだって持っている。
無理矢理友達に入れられたんだ、別に好きで入った訳じゃない。
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