始まりのキスと白い監獄

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「何を呆けているの? どこかに頭でもぶつけたのかしら」 「いや、そういう訳じゃなくて… そんな事よりここはどこなんだ!?なんで君や俺はこんな所にいるんだ!?」 彼女は冷ややかだ、そんな態度が俺の中で焦燥に変わっていく。 さっきまでなんとか平静を保っていた判断力の均衡が崩れる。 ダメだ、ダメだダメだダメだ!! 落ち着け!! 落ち着け!! 落ち着いて状況を整理しろ!! 彼女もこんな所に閉じ込められて内心は不安なのかもしれない、そんな時に俺が取り乱してどうする。 俺が無意味に不安を掻き立ててなんのメリットになるんだ、彼女を不安にさせて、自分だけが騒ぎ散らすなんて…そんなの、自分勝手過ぎるだろ。 そう考えると少しは頭が冷えた。 そうだ、今は状況を整理して彼女と協力するんだ。 まずは息を思いっきり吐き出す、肺に残った空気も全てだ。 それから空になった肺に空気を3回に分けて送り込む、昔何かの本で読んで覚えた知識だ。 試合前や、緊張した時にはいつもこれをやって気分を落ち着かせる。
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