現実

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「―――穂。咲……穂……」 人がせっかく赤ちゃんを腕に抱きあやしているのに、ソレを邪魔するようにユキが頻りに人の名前を呼んでくる。 「はい……、はい……」 ぶっきら棒に何度も答えれば邪魔するように私の頭に手を置いてくる。 私はソレを迷惑そうに何度も何度も払いのける。 それなのにユキは一向に止める気配を見せない。 私は徐々に苛立ちを覚え 「だから何よ!?」 勢いよく振り返りユキに文句を言い放った、はずなのに見えるのはユキの顔ではなく見慣れた天井。 「あれ?」 状況を把握できずにいると 「何を寝ぼけてるんだ。早く起きろ。遅刻するぞ」 呆れ顔のユキが視界に入ってきた。 .
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