-1-

16/18
前へ
/34ページ
次へ
「……こちらこそ、 よろしくお願いします……」 涙声で答えると、 先生がびっくりしたように わたしの顔を覗き込んだ。 「お前、なに泣いてんの。 …別に、泣くとこじゃないし」 「だ、だって」 「いいから、行くよ。 …じゃ、おやすみ。 今日はごちそうさま」 先生はわたしの腕を掴んで 玄関のドアを開けた。 「あれ、テツ、今夜は こっちには戻ってこないの」 「うん、こいつ送ったら 今日はそのまま帰る」 「分かった。 じゃ、また明日」 「うん。今日はサンキュ」 「…あ、待って、せんせ…。 あのっ、お邪魔しましたっ、 ありがとうございましたっ」 みんなの暖かな笑顔に送られ、 わたしは半べそのまま 手を振りながら、ずるずると 引きずられて玄関を出た。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

344人が本棚に入れています
本棚に追加