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何処かで鈴の音がした。
酷く儚い 今にも壊れてしまいそうな音がした
二人のある姉妹がいた
姉はイリス 妹はアリス
イリスは周りからも認められた高貴な百合
アリスは周りからうとまれた小さな菫
イリスはアリスが大好きだった
アリスもイリスが大好きだった
イリスの後ろにいつもアリス
アリスの前にはいつもイリス
とてもよく似た二人だったから周りからよく比較された
「イリスは出来た子。なのにアリスは…」
それは二人を傷付けた 取り分けアリスを傷付けた
そんな妹(アリス)を姉(イリス)は気遣う
「貴女は何も悪くない。気にしてはいけないわ」
そんな姉(イリス)に妹(アリス)は望む
「ずっと姉さん(イリス)と一緒に居たい」
二人は幸福だった 何事もなく過ぎて行く日さえあればそれで良かった
†††
リンと鈴の音がした
アリスの掌の中 小さな鈴が鳴った
それはイリスからの贈り物(プレゼント)
イリスは青 アリスは白
「お揃いね」アリスは笑う
幸福な日だった
けれどもそれはその日が最後に消えてしまった
†††
イリスは翌日から病に倒れた
もう立ち上がる事も出来なくなった
「何故今迄立っていられたのか」
医師は残酷な真実を告げる
アリスは酷く落ち込んだ
「主よ、何故妹(アリス)ではなく姉(イリス)をお選びになったのでしょうか。どうか姉を助けて下さい」
願いは届かず最期の刻を迎えた
イリスの傍らにアリス 他には誰も居ない
「あの鈴大切にしてね
一緒に居られなくなってごめんね
今迄ごめんね
ありがとう」
そうしてイリスは深い眠りに就いた その瞼が開く事は二度と無かった
†††
それからアリスは姿を消した 誰もが行方を追ったが ついに見付かる事は無かった
†††††
何処かで今も音がする
酷く儚い鈴の音
それはイリスとアリスの証
†††††
ある日ある場所娘が生まれた
その名前はアイリス
その娘の運命は誰も知らない
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