my aze

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いつもと変わらない授業。 いつもと変わらない放課後。 いつもと変わらない日常。 そう。 私の日常は何一つ変わってない。 そうだ。 そうに決まってる。 昨日の『アレ』は、彼の冗談だ。 そりゃ最近よく話すようになったよ? 放課後、ちょっとだけ。 だけど、それだけが決定打になるとは思えない。 しかも彼は人気者。 1人しか友達がいない私とは違う。 そうだよ。 だから、『アレ』は気まぐれ…… そう言い聞かせながら周囲を気にしながら廊下を歩く。 すると前から誰かが走ってくる音。 女の子達の悲鳴に近い声。 間違いない。 『彼』だ。 逃げないと!! そう思うけどもう遅い。 角を曲がってきた『彼』とバッチリ目が合った。 固まる私。 『彼』はそのまま走ってくると私の腕を掴んで近くの空き教室に飛び込んだ。 片手で私の口を塞ぐと座り込んで廊下の様子を伺う。 女の子達が去るのが分かると『彼』は私を後ろから抱き締めたままため息をついた。 「彩絵(さえ)」 後ろから囁かれてビクッとする。 「高杉(たかすぎ)くん……っ」 「違うだろ。響也(きょうや)」 どうして、このイケメンにこんなに迫られているのか…… その話は三日前に遡る。 .
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